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森の囁き

執筆者の写真: 初 岩崎初 岩崎

更新日:2022年10月14日



私と森との話。


友達はいた。

しかし気軽に遊びに行ける距離ではなく、

いつも私は独り虫網を手に森へ出かけた。

虫の声。

川のせせらぎ。

木々の話し声。

そして時折感じた生温い気配。

静かでいて賑やかな。

そんな世界がどこまでも心地よかった。


そんな私は今雑踏の中にいる。

ここでは足を休ませる暇はなく、

心はいつも抵抗している。

しかし私には帰る場所がある。

目を閉じれば、風と葉が身を寄せ合い

音を奏でている。

どこにいても、どんな時でも

私はあの森へ帰れるのだ。


私は人間に可能性を感じる。

己の醜さ、美しさ。

それらを表現する喜びを

私は知ってしまった。

野花のようにはなりたくても、

野花になりたいとは思わない。

私はどこまでも美しい人間でありたい。

そして私の創りあげるものは全てそうであれと願っている。


この言葉たちも。

音楽も。


これは私という森の囁き。




 
 
 

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